占いと私(5) ~とか言って、マルチ商法の勧誘なんじゃないの?~

コラム
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占い師の山田さん(仮)に相談してから、数か月後。

仕事と育児が忙しく、「雑談しにきていいよ」なんて言われていたのに、
あれから一度もお店には顔を出せていなかった。

子供と一緒に寝落ちしてばかりで、なかなか勉強も思うように進まない。

そんななか、私は次女を妊娠していた。
そう、待ちに待った産休が迫っていたのである。

産休に入れば、占いの勉強が思う存分できる!そう意気込んでいた。

※妊娠になんのトラブルもないことと夫の理解と協力ありきなので、
 産休に入った人がみんな自由時間増えるわけじゃないよ!

意を決して、私はネット上で山田さんを探し出し、メールをした。
「山田さんの経験談を聞かせてください」と書いた。

数か月前に占ってもらったこと、それからどうしていたか、
今はどう考えているかなどの背景も丁寧に書いた。
そこらへんは一応社会人である。

山田さんからはすぐに「私も会ってお話ししたいです」と返事がきた。

もちろんお金は払うと伝えたが、どうやらタダでお話させてくれるばかりか、
お店のオーナーを紹介してくれるらしい。
しかも、こちらの都合にあわせて、休みの日にわざわざお店に出てくれるという。

やっぱり超いい人。

だが、そこで脳裏をよぎるのが「マルチ商法」のトラウマ。
「占い」「タダ」「紹介」…これがそろったら役満だ。

この世の中、そんなに都合の良いことがあるはずがない。
事実、私は店長がマルチ商法をやっているパワーストーンのお店を知っている。

どんなにいい人に見えようが、裏があると考えるのが筋だ。
これでも東京生まれ東京育ちである。

だいたい、マルチの勧誘をしてくる人は善意からの場合が多い。
善意のうしろにちょっと金儲けがちらついているくらいだ。

何かにサインをさせられそうになったら走って逃げると決めた。

当日。私は山田さんに渡す美味しいお菓子を買って手渡した。
タダでは悪いので、最初に正規の料金で占いもお願いした。
そこらへんは一応社会人である。(二回目)

占いが終わると、山田さんは約束どおりいろいろ話してくれた。

終始穏やかに、まるで親戚のおじさんのように親身になって話してくれる。

しかし優しさに感動する私のうしろでは、
「油断するな!そのうち雲行きが怪しくなってくるぞ!」
ともうひとりの私が警鐘を鳴らしていた。

そしてどれくらい話したか、「じゃあ鈴木さん(オーナー)を呼んできますね」
と山田さんが言った。

鈴木さんは女性だった。
どこか教頭先生のような威厳があり、気品があり、まあ話しやすい感じではない。
だが、私くらいの娘がいて孫もいるというので驚いた。美魔女だ。

狭い空間に、小さな椅子が三つ。
私と、山田さんと、鈴木さん。
異様な空気の中、三者面談のようなものが始まった。

正直、気まずい。
それに、鈴木さんの「何を話せばいいの?」とでも言いたげな様子からして、
マルチ商法の勧誘はおろか、お高いパワーストーンとかも売りつけられそうにない。

それはそうだ。
山田さんの話のとおりだとすれば、鈴木さんから見れば、
「なんか知らんがお店の従業員が勝手に連れてきた主婦」である。

採用面接でもないし。
というか忙しそうだった。ほんとすみません。

そんななか、ひとりだけのほほんとした山田さんが、相変わらず穏やかな口調で鈴木さんに私の紹介をしてくれた。(山田さん強い…)

山田さんのおかげで、少しすると話も弾んできた。

「別に無理して先生に教わったり、集団に属したりしなくていいのよ。
 占い師なんて本来孤独なの。うちも、一匹狼みたいな子たちの集まりよ。
 ここで占いをしてもいいし。あなた、向いてると思うよ」

コミュニティに属することに抵抗のある私に、鈴木さんはそう言った。
そしてさらっと面接とおった。

「あのね、占いをするのにいちばん大事なのは“内観”なの。
 自分の心が汚かったら、人を占うことはできない。
 エゴから発せられる言葉は占いではないの。
 だから常に自分の心と向き合って、磨いていくこと」

鈴木さんが語る占い師は、私が理想とするものだった。
まず自分の心と向き合っていく。

…心が汚いばっかりに、マルチだなんだと疑ってごめんなさい。

全然マルチじゃなかった。
初めから終わりまで善意の塊だった。
(まあ警戒するに越したことはないよね…!)

私は二人にお礼を言って、店を後にした。

この後も私はいくつか職場見学を兼ねて占いに行ったのだけど、
思い切って占い師になりたいことを話してみると、
意外なことに皆とっても親切だった。

こちらから質問しなくても、占いの館はどうだとか、電話占いはどうだとか、
給料はどうだとか、占い師同士の人間関係はどうだとか、
占い業界の話となると急に親戚の人みたいに教えてくれる。(全然占いじゃない)

ここ数か月はSNSなどで占い師さんとの交流も初めてみたけど、
やっぱりまじめな人がやたらと多い印象だ。

占いの結果は曲げないけれど、お客さんが自分の意志で歩めるように、
言葉には細心の注意を払っている。
不安を煽ったり依存させたりする占い師は三流以下だ。

だから「所詮占いは占い」と、どこか冷めた姿勢を取ることもある。
自分もお客さんも占いに依存してはいけないから。

誠実で、占い師であることに誇りがあり、自分の哲学を強く持っている。

ちょっと変わっていて、人付き合いでは不器用な人も多いのかもしれない。
知識欲がすごくて、一生勉強し続けようとする気概がある。

なんか、研究者みたいだ。
研究者でいて、修行僧みたいだ。

私も占い師になったら、好奇心のままに勉強したり、
自分の心と向き合い続ける生き方ができそう。

それはとても良い。

スピリチュアルでは人は魂を成長させるために生きているとよく言われるけど、
私の目標はもう少し具体的だ。

「素敵なおばあちゃんになりたい。」
これは、子供の頃からずっと思っている。

父方の祖母のような、賢くて、ニコニコして、人のために迷わず動ける強い人。

祖母は、まったく不思議なことを言う人ではなかったけど、
亡くなる少し前に宝船を見たと言っていた。
宝船にお友達が乗って手を振っている、わあ落ちそう、と手を叩いて喜んでいた。

もしかしたら、生前善い行いをした人には宝船が迎えに来てくれるのかもしれない。
私も死ぬときには宝船を見てみたい。

今はこんなんだけど、占い師になって生涯自分を磨き続けたら、
宝船のチケットにも手が届くだろうか。

ライフワーク、という言葉が頭に浮かんだ。

占い師になりたい気持ちがどんどん強くなり、産休前の私は暇さえあれば
占いの勉強のカリキュラムを作成していた。

まずはあれを読んで、これを練習して、次にこれを…。

そして、いざ迎えた産休!!

……の数日前に、長女が肺炎で入院した。
退院したと思ったら、今度は私が高熱を出して一週間以上寝込んだ。

そうこうしていたら次女が生まれた。
次女と一緒に退院したと思ったら、今度は次女が肺炎で入院してしまい…。

今年に入ってようやく本気の勉強モード!
と思ったら、今度はコロナで長女を保育園に預けられない。

おい!!
おい!!!!!!

というわけで、産休前に想定していたような時間はほとんど取れないまま今に至る。
(山田さんと鈴木さんにも会ってない。)

でも、そこは負けず嫌い日本代表の私。さそり座の女である。

ときにはミルクを片手に電子書籍を読み、ときには明け方まで占いの修行をしてきた。
占い師には着実に近づいてきている。

つい調子に乗ってブログまで立ち上げてしまった。
立ち上げたからには、一人でも多くの誰かを占い沼に引きずり込みたいと思う。

目指せ、一人前の占い師!

(ここまで読んでいただき、ありがとうございました。)

じゅりえ

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