小説 【小説】転がるトマト(後編) 食事で火照った頬に夜風が心地良い。彼の電話は長引かず、メインディッシュには間に合った。サプライズの誕生日ケーキも美味しかった。私は幸せだ。 私は幸せだ――心からそう感じる時、私は小さな点から飛び出して、器の自分になったような気分にな... 2020.06.04 小説
小説 【小説】転がるトマト(前編) あれは中学生の時だ。 夏らしく、友達と「幽霊は見たことがあるか」という話になっていたと思う。 私は「幽霊ではないがトマトが転がるのをよく見る」という趣旨の話をした。友達はぽかんとして変な空気になったことを覚えている。 し... 2020.06.03 小説